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白い月と黒い瞳

全く何もしたくは無かった。白い月が能登子の後を着いて歩いてる様に絶えず見えてはいた。冴え冴えと身を刺す様な冷たい空気。其れは冬の朝のまだ6時を少し過ぎたばかり、此れから最低気温を記録する。まだ薄暗く山道を歩く彼女は行き先に何が潜むか知らぬ…

通りゆく時雲の流れに

人間は過ちを犯す。其れは何時の世も同じである。過ちを犯しながら片方で善を施している。罪を犯していると言う自覚に立った時自分を恥じ其れを補おうとする意識が芽生える。また、逃避するか何れかなので有る。罪は其の度合いに寄り、其の比重によって許さ…

タクシーの男と犬

土砂降りの雨になった。どの位車を走らせたのだろう。夢中で運転して来た麻由は自分に起きた悲しみと罪の深さに今更ながら慄いて絶望感でいっぱいになった気持ち抱えて真夜中の甲州街道を走らせ今もう少しで東京の外れにある奥多摩湖に着く少し手前迄来てい…

短編小説1 ナンタルコトポン太

ナンタルコトポン太 桜が満開であった。公立の学校は春休みに入ったばかりである。入学式の頃には葉桜かも知れないなと邦夫は虚ろにそう思った。 君島邦夫 三十一歳。中央線三鷹駅北口から関東バスの北浦行きを利用して武蔵野市役所に程近い大国総合病院迄通…